
文末に使う「…」を三点リーダーと言います。よく、小説やマンガ、あるいはブログやSNSなどで微妙な心理描写を表すときに使うことが多い記号です。
この記事では、
これらをまとめました。
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記事を読み終えたあとで、三点リーダーの使い方がわかり、普段のコミュニケーションでどのように使うべきかを考えるきっかけにしていただければ幸いです!
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三点リーダーとは、「文章を省略する意味」と「文章に余韻を持たせたり沈黙を表現したりする意味」で使われる特殊記号です。約物(文字や数字以外の記号・符号活字の総称)の一種にあたります。 「…」はPCなら以下の方法で入力できます。
キーワードの「・」の入力位置です。
「…」はスマホなら以下の方法で入力します。
フリック入力の画面です。
昔の日本語の文書には三点リーダーは使われていませんでした。欧米の文章を翻訳する中で三点リーダーが使われはじめ、現在では広く一般に使用されています。
ちなみに、最近ではほとんど使われなくなりましたが二点リーダー(・・)も存在します。二点リーダーは三点リーダーと同じ意味ですが、現在では一般的に用いられていません。
三点リーダーの正しい使い方や使用例について紹介します。
実は、三点リーダーに限らず、特殊記号は2つ続けて使うのが正しい使い方とされています。三点リーダーの具体的な使い方を紹介する前に、正しい三点リーダーの使い方をお伝えします。
正:自宅に帰ると疲れ果てて眠ってしまった……
誤:自宅に帰ると疲れ果てて眠ってしまった…
このように、文法上は三点リーダーを並べて使うのが正しい使い方とされています。そして、三点リーダーのあとには句点(。)を打つ必要はありません。
また、「・・・」と中点を三つ打ったり「。。。」「、、、」と句読点を並べたりするような使い方も間違いとするのが一般的なようです。
ただし、三点リーダー自体が古来の日本語の文書には存在していません。時代とともに日本語が変化していると考えると、三点リーダーを一回しか使っていなくても、あるいは「・・・」や「。。。」も間違いではなくなっていると感じます。あとで例文を挙げますが、スラムダンクでも三点リーダーを1回だけ使っている名台詞もありますし…。
三点リーダーを使った例文を紹介します。マンガや小説の名ゼリフを取り上げてみました。
マンガの名ゼリフを読むと意外と三点リーダーの使い方が間違っていますね。文字に起こすとただの間違いのように見えますが、それも含めて文章あるいはビジュアル的な表現なんだなと感じます。
例:安西先生…!!バスケがしたいです……(井上雄彦作『SLAMDUNK』)
例:愛してくれて………ありがとう!!!(尾田栄一郎作『ONE PIECE』)
例:汚れつちまつた悲しみに……(中原中也『汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集』)
例:この、お乳とお乳のあいだに、……涙の谷、………(太宰治著『桜桃』)
一文だけ抜き出すと情緒が分かりづらいですが、前後の文脈を理解したうえで読むと深みを感じる文章ばかりです。
数学で三点リーダーを用いる例は以下の通りです。
このように、さまざまなシーンで三点リーダーは使用されています。
テレビや雑誌などのメディアで話題になっているのが三点リーダー症候群です。
SNSなどを見ていると、文中に「…」を使う若者は少なくありません。なぜ三点リーダー症候群に陥るのでしょうか?
どちらかと言えば「…」をつけがちな世代の立場から三点リーダー症候群の心理とトラブルをお伝えします。
三点リーダー症候群に陥っている人は、文末に「…」を付けることで相手に行間を読み取ってもらう意図があると考えられます。ここでは三点リーダー症候群に陥っている人の三点リーダー使用例と、おそらくそのときの気持ちをまとめてみました。
たとえば、相手から食事のお誘いいただいたときに「本当は行きたいけど行けないかもしれない(「…」で表現)。でも参加したい(「!」で表現)」という気持ちを込めて「ありがとうございます…!」といった使い方をします。
また、自分の責任ではないと伝える意味の「お客さんがこのように言っているので大丈夫だと思うんですけど…」、怒ったり呆れたりしているときの「うーん、わかりました…」などがあるようです。
テレビ番組で議論していたときの例文も非常に共感できました。僕の場合、「怒ってると思われたくないな」と思うと、プライベートでは「…」と付けてしまいがちです。自分の意志をハッキリ伝えることで相手を攻撃したくない心理が働いているのかもしれません。
三点リーダーを多用するとさまざまなトラブルが起きます。特に、「逆接の意味の接続詞+三点リーダー」や「推測+三点リーダー」は相手に意図が伝わりづらくなる原因です。
例:大丈夫だと思うんですけれど…(本当に大丈夫?)
例:10時に来てくれるはずですが…(本当に来るの?)
例:遅れているようですね…(えっ、あなたのせい?)
このように、三点リーダーを付けていることが原因で相手に不安や反感を買うこともあるわけです。
気遣っているつもりで「…」と付けたばかりに相手に不快な印象を与えることもあるようです。三点リーダー症候群になる気持ちはすごくよくわかりますが、相手を思うからこそハッキリ伝えたほうがよい場合も多々あります。
僕は、多くの人の目に触れるSNSへ書き込む機会が増えた若者特有の感情が三点リーダー症候群の起点ではないかと思いました。三点リーダーとはまた異なる悩みだと思いますが、SNSが普及して以降、FOMO(取り残される恐怖)の心理状態に陥る方も増えました。こちらも理解しておくとよいかもしれません。
関連記事:FOMOとは?Clubhouseの普及で「SNS病」が注目される理由
三点リーダーの正しい使い方や例文、三点リーダー症候群についてお伝えしました。
沈黙や余韻を表すのが本来の目的ですが、近年では自分の気持ちを防御するために三点リーダーを多用してしまう方もいます。かえって相手の気持ちを害している可能性もあるため、できるだけ意思を明確に伝えるようにしましょう。
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※2022/7/29…情報ソースが不十分な箇所があり一部訂正させていただきました。お詫び申し上げます。
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