
ライター:安藤悟
株式会社エストリンクス代表取締役。2012年、htmlコーダーや業界紙の新聞記者を経てWEBライティング専門の記事作成代行・エストリンクスを創業。クラウドワークス様でのウェビナーなど、SEOやコンテンツマーケティングに関する講演実績多数の上級ウェブ解析士。
SEOのために記事を書くとき、キーワードの使用回数や出現率を気にする人もいます。
しかし、2018年のBERTアップデート(Googleの自然言語処理技術)により、2019年時点でキーワードの使用回数や出現率(含有率)はSEOに効果がないと考えるのが一般的です。
この記事では、SEOのキーワード数や出現率が評価されていた理由と、キーワードの使用に関する2021年の最新情報をお届けします。
Contents
SEOにキーワード数が重要だった理由は、Googleの検索エンジンに単語の意味を理解する能力がなかったからです。
BERTアップデートが実装される前のGoogleの検索エンジンは、ユーザーが打ち込んだ検索クエリ(検索キーワードとおおむね同義)を頼りに意味を判断し、検索結果に返していました。
しかし、現在のGoogleは類義語システムによって前後の文脈から意味を判断できます。Googleの『検索アルゴリズムの仕組み』の中にある、「検索意図を把握する」の項目で非常にわかりやすい例があるのでご覧ください。
このように、検索クエリからGoogleは意味を判断して検索結果を返します。検索時にスペルミスや辞書的に正しく意味で検索しても、ユーザーが求める情報が表示されるのはBERTアップデートによる効果です。
言いかえると、いまのSEOではキーワード数や出現率が意味をなさなくなりました。エクセルやツールを使ってキーワード数や出現率をカウントしても、SEOに効果がないと言ってよいでしょう。
現在のSEOにおいて、キーワード数や出現率の意味がないとお伝えしました。しかし、以下の観点からはキーワードの使用回数や出現率を意識してもよいでしょう。
それぞれ解説します。
Googleクローラーにわかりやすくコンテンツの内容を伝えるうえでキーワードを意識することは大切です。
キーワード数のスパム判定を気にしてわざわざ表現を変える必要はなくなりました。
たとえば、「SEO キーワード 数」というキーワードで上位表示を狙うとしましょう。このとき、わざわざ検索ボリュームが少ない「SEO クエリ 数」にタイトルや見出しを言いかえる理由はありません。
この場合、「SEO キーワード 数」と同じ意味で、「いくつまで?」という表現が使われています。
Googleは意味を正しく解釈してこの記事を上位表示していますが、もしかするとユーザーに伝わりづらくクリック率は悪いかもしれません。反対に、ユーザーの検索意図を深くとらえているためにクリック率が高い可能性もあります。
タイトルタグや見出しタグ、metaディスクリプションタグ(検索結果に自サイトが表示されたときのページの要約文)を設定するときは、自然さを意識することをおすすめします。結果的にキーワード数が増えたとしてもスパムを恐れてキーワード数を減らすために言葉を言いかえるのは本末転倒です。
関連記事:meta descriptionとは?SEOに最適な文字数と設定方法
キーワードの使用回数や出現率が過度に多いと、GoogleからスパムSEO判定を受ける可能性もあります。
隠しテキスト(ページ内に見えないようキーワードを羅列する手法)はペンギンアップデートにより淘汰されましたが、いまだにSEOでキーワード数を多く盛り込もうとする人も少なからずいるようです。
一般に、SEOにおいて自然なキーワード数を紹介します。
タイトルタグのキーワードの使用回数は1~ 2回までが自然です。
反対に、タイトルにキーワードが1回も入っていないのはSEO的に逆効果だと考えられます。その記事がどんな内容を語っているのか、タイトルを見てわからないからです。
SEO目線も大事ですが読者に読ませるタイトルのつけ方も大切です。もし、検索上位にいるのにコラムが読まれないと感じる方はタイトルも見直してみましょう。
>>コラムのタイトルのつけ方は?読者に読ませる記事作成のテクニック
かつてのSEOではmetaタグにキーワードを入れることが基本とされてきました。しかし、SEOにおいてmetaタグの効果は明確に否定されています。
meta keywordsやmeta descriptionにキーワードが3回以上入っているのは過度な使用を疑いましょう。ただし文脈上、meta descriptionに3回キーワードが入ることもありますが、気にする必要もありません。
All in One SEO PackのようなWordpressのプラグインを利用してmetaタグを設定しているWEBサイトは多いです。いまでもmetaタグを設定するSEO会社様もいるように、設定すること自体が問題ではありません。キーワード数は意識せず、meta keywordsやmeta desrcriptionは自然な内容を記述しておきましょう。
hタグでのキーワードの使用回数はhタグの見出しレベルによって異なりますが、h1タグやh2タグにはキーワードを1回入れましょう。タイトルタグと同様、記事がどんな内容を扱っているかユーザーとGoogleに伝えるためです。
alt属性(画像の代替となるテキスト情報)はキーワードを意識する必要はありません。キーワードを過剰に埋め込む手法はスパムSEOとして否定されています。
ちなみに、alt属性は画像が表示されないときに代わりに文字を表示するタグです。視覚障碍者に対して読み上げるため、あるいは近年は減りましたがネット回線が遅く画像が読み込めない人のために設定します。
ユーザビリティの観点で考えると、自然な文脈でキーワードを設定する分にはよいでしょう。ただし、画像とキーワードの意味が一致していることは前提条件です。
本文でキーワードの使用回数や出現率を意識する必要はありません。
かつては3~5%前後、キーワードの出現率(含有率)があるページはSEOに有効とされていました。
記事のテーマが明確に決まっているなら、SEOを意識せず自然に執筆した結果が正しいキーワードの使用回数や出現率だと言えます。
キーワード数や出現率と同様、SEOに最適な1記事の文字数を気にする方もいると思います。結論、文字数が1,500文字程度あればGoogleから低品質コンテンツと判定されることはまずありません。文字数よりも情報量や情報の質を重視してください。
関連記事:SEOと文字数の関係は?ブログやサイトの長文コンテンツが上位表示される理由
いまのSEOでもキーワードの使用回数や出現率の調査は競合サイトおよびユーザーニーズの分析には効果的です。自社のWEBサイトが狙うキーワードに対し、競合がどんな記事を書いているか分析に役立ちます。
当社が競合調査のキーワード出現率調査に使うツールはSEOチェキ!です。
ここでは、当社のオウンドメディアが「客観性 文章」で1位を獲得した記事を分析してみましょう。
「客観的」「事実」「文章」「表現」「記事」「主観」「美しい」「作成」「データ」といったキーワードの出現頻度が高いことがわかりました。
頻出キーワードから以下のように記事を分析できます。
実際に記事を読むと、「美しい」は客観性を説明する例文に使われていました。
このような競合分析を1~10位まで繰り返すと、検索上位になるにはどんな記事が必要かわかります。
自分が狙っているキーワードで上位表示されている記事の方向性にアタリをつけるなら、SEOチェキ!のようなキーワードカウントツールの使用は有効です。
>>【初心者向け】記事作成の手順とは?わかりやすい記事の書き方ができるテンプレート
今のSEOはキーワード数や出現率より検索意図を重視します。BERTアップデートが前後の文脈からキーワードの意味を正しく理解できるからです。
テーマで記事を作成する以上、結果的にキーワードの出現回数や出現率は多くなります。しかし、SEOのためにキーワード先行で考えるのは手段と目的が逆転するため注意しましょう。
SEOは1記事1キーワードごと、ユーザーの検索意図を考えたテーマ設定が重要です。
複数のテーマを盛り込むとテーマがぼやけてしまい、Googleは何のページか理解できません。ユーザーにとっても何について書かれたページかわからず、より深く、わかりやすい記事を求めて離脱してしまいます。
キーワード選定のコツは『SEOのキーワード選定方法のコツとは?初心者でも上位表示を目指せるキーワードの選び方』にまとめました。キーワード戦略から考えたい方はぜひご一読ください。
反対に、1記事で複数のキーワードを狙うべき状況もあります。フレーズは違っても意味が同じようなケースです。
たとえば、「キーワード数 チェック」「キーワード数 ツール」といった2つの検索キーワードは、検索上位10サイトにほとんど同じWEBページが並んでいます。
このとき、「キーワード数 チェック」と「キーワード数 ツール」の記事を分けて作ってしまうと、Googleはどちらのページを評価すればいいかわかりません。
検索意図が同じ場合、キーワードをグルーピングして複数のキーワードをまとめて1記事で狙うのが有効です。
2021年現在、キーワード数や出現率はSEO効果がありません。むしろ、スパム判定されるリスクをはらんでいるため、機械的にキーワードを盛り込まないように注意が必要です。
ただし、キーワードカウントツールによる競合分析は、ユーザーが求める記事構成を考えるヒントになります。競合分析からユーザーの検索意図を考えるのはSEO上有効なので、ユーザーニーズの観点からキーワード出現率を意識するのはよいでしょう。
ほかにも、SEOの基礎知識やチェックポイントをわかりやすくまとめました。ぜひ「SEOとは?初心者にわかりやすく対策方法と仕組みを説明」の記事をご覧ください。
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